新時代の要求に応えられる人材を。
本校は創立82年という歴史の中で、時代が要求している土木と建築とは何かを常に考え、それに応えてきました。では、これからの土木、そして建築のあり方とは、どのようなものになっていくでしょうか。
土木を例に考えてみましょう。東京都と神奈川県を結ぶ高速道路上に、「鶴見つばさ橋」という橋があります。三角形のフォルムが印象的なデザインを持った吊り橋です。デザインを手がけたのは、川上元美氏という著名なプロダクトデザイナー。この例が示すように、土木の領域である橋梁にも、“デザイン性”が求められる時代になってきています。カラーリングであるとか、ワイヤーの張り方であるとか。構造にしても、環境の中の視覚的要素が重要になってきて、それが周辺に住む人たちに対する心理的要素に影響することが認められてきています。この傾向は、今後ますます強まっていくでしょう。
とすれば、そんな時代の要求に私たちはどのように応えていけばいいのでしょうか。考えなければならないのは、“見える土木”を意識すること。そして、人間や地球に負荷を与えない土木を、いかに実現していくかということ。そのために基本的な土木の知識に加え、環境やデザイン、アートといった要素を教育にも取り入れていく必要があるのです。
ここに、これから本校が目指すもののヒントがあります。新時代の要求に応えるべく、土木や建築の中に、デザインやアート、つまり“文化”を組み込んでいく感性を持った人材を、輩出していきたいと私たちは考えています。
そしてもうひとつ。本校がこれから大事にしていきたいと考えているポイントは、「人間の力」の育成です。 「人間の力」とは何か? わかりやすく言えば、“説得力”を持った人材を育てるということ。“説得力”を持つことができれば、社会に出てから、どんな現場でも活躍することができます。では、その“説得力”はどうすれば得られるかと言えば、経験を積むことであり、情報を得る能力を持つことであり、さまざまな知識を持つことにほかなりません。そういった「人間の力」を育てるための“糧”を、福岡建設専門学校として幅広く提供し、そして“説得力”を持った人材を輩出していくこと。それこそが、これからの土木や建築産業を活性化することにもつながっていくと考えています。
みなさんと一緒に、これからの日本の土木・建築業界の未来を切り開いて行きたいと思っています。
理事長
伊東順二
伊東 順二
美術評論家、プロジェクト・プランナー、プロデューサー、富山市ガラス美術館 名誉館長
1953年長崎県生まれ。早稲田大学仏文科大学院修士課程修了、仏政府給費留学生としてパリに学ぶ。帰国後、アート、音楽、建築、都市計画など分野を超えたキュレーション、プロデュースを多数手がける。
‘95年「ベニス・ビエンナーレ」日本館コミッショナー、’97年パリ日本文化会館開館企画「デザインの世紀」展コミッショナー。’00年~’01年「文化庁メディア芸術祭企画展」プロデューサー。’02年仏政府「芸術文化勲章(シュヴァリエ)」受章。’04年~’13年富山大学教授。’07年〜「富山映像大賞」総合プロデューサー。’11~’13年「九州芸文館」アートプロジェクトプロデューサー。’13~’23.3年 東京藝術大学 特任教授。’16年「NHK 高校講座 美術」監修・出演。’17年「再現 釈迦三尊像展—飛鳥が告げる未来—」キュレーター。’19 年「大手町アートラボ」ディレクター・キュレーター(2020年度グッドデザイン賞受賞)。’21~’22年「南三陸町311メモリアル」コンテンツキュレーターなど。
初代長崎県美術館館長。富山市政策参与。
WORKS
1. 南三陸町311メモリアル
【コンテンツキュレーション/2022年】
伝承館において未来に希望をもたらすコンテンツキュレーションを東京藝術大学の伊東順二特任教授(COI拠点まちづくりのスマートビジョン研究リーダー)が行い、東京藝術大学のアート作品が展示。
2. 大手町Art Lab
【ディレクター・キュレーター/2019年】
2020年度グッドデザイン賞受賞。
大手町最大規模の新たなビジネスセンター「大手町プレイス」における新しいアート環境の設立企画。
大手町アートラボラトリーズという実験的な製作工房を設立しコンテンツの実況制作、概念や価値の再検証、ネットワークテクノロジーの可能性、多様性の克己、街づくりにおける文化マネジメントの創造などを多岐に渡って実験した。
3. 富山市ガラス美術館
【名誉館長/2016〜】
4. NHK 高校講座 美術
【監修・出演/2016】
これまで「世界を駆ける日本料理」や「発見 ふるさとの宝」などに関わってきた本人が、2016年 NHK高校講座 美術の監修・出演を務める。
5. 九州芸文館 アートプロジェクト
【プロデューサー/2011年〜2013年】
最先端の展示機能を持つと共に、陶芸工房や図書館機能、カフェ機能を分棟式に持つ新世代型の展示施設を目指した九州芸文館。
6. 国宝法隆寺 釈迦三尊像の再現
【プロデューサー/2017】
東京藝術大学最新の科学分析技術と3D、ICTなどのテクノロジーそして高岡、南砺の日本の伝統技術の協働によって釈迦三尊像を再現するプロジェクト。
7. 長崎県美術館
【初代館長(2004〜2007.3)】
8. 富山映像大賞
【総合プロデューサー】
富山映像大賞(旧富山水辺の映像祭)は、映像文化の発信と若手クリエーターの発掘・育成を目的に、年度ごとのテーマに沿った映像作品を一般の方々から公募し、優秀な作品を表彰するコンクール。2007年から開催。